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村国座と各務原市の文化財を訪ねました

2020年11月6日

令和2年10月22日に各務原研修会を実施しました。

研修場所の概要

  • 村国座:村国神社境内にあり、氏子が地芝居を奉納するため明治10年に建設された小屋。昭和49年 国重要有形民俗文化財に指定。
  • 村国神社:壬申の乱の英雄「村国男依」を祀った神社。
  • 旧中山道鵜沼宿脇本陣:鵜沼宿町並み絵図に基づき、脇本陣坂井家を各務原市が復元。平成22年から公開。
  • 旧中山道鵜沼宿町屋館:明治24年の濃尾震災で倒壊後、明治後期に再建。平成18年、市が武藤家から寄付を受け、修復を経て、平成20年より公開。登録有形文化財。
  • 貞照寺:日本初の女優川上貞奴が成田山新勝寺に帰依し、福沢桃介との思い出の地木曽川河畔に、不動明王を本尊として、私財で建立したお寺。諸堂が登録有形文化財。
  • 萬松園:旧川上家別邸「萬松園」は、川上貞奴が晩年に建てた別荘。貞奴の人並み外れた感性が発揮された、大変豪華な建物。平成30年 国重要文化財に指定。

各務原研修会 報告書 

村国座と各務原の文化を訪ねて      長澤 均

 

雲空の10月22日(木)、各務原市で県内地歌舞伎研修会を実施した。各務原市中央図書館前に集合し32名がバスに乗り込んだ。

子安会長挨拶の後、事務局編集の要領を得たレジュメとその説明は好評であった。

先ず向ったのは、壬申の乱の英雄村国男依を祀った村国神社と国重要有形民俗文化財「村国座」(昭和49年指定)である。本会の巡視員であり鵜沼宿案内の会大堀等会長の案内で、古代壬申の乱の実力者村国氏の活躍やその地盤について教示を受けた。続いて、地歌舞伎小屋村国座の明治10年建設の経緯と説明を聞いて、大修理した館内の回り舞台や花道・囃子席などを巡回見学した。

次に向ったのは、中山道第52番目鵜沼宿の町並みと町屋館・脇本陣である。中山道における鵜沼宿の位置づけと町並み保存の説明を聞き、その熱意に感心した。二宮古墳や珪化木の芭蕉句碑の出発点であることにも新たな見識ができた。

昼食は三ツ池美濃の郷で秋の栗ご飯を賞味し、日本初の女優川上貞奴が私財で建立した菩提寺の貞照寺(諸堂が登録有形文化財)を訪ねた。福沢桃介・木曽川電力開発など岐阜県とのゆかりとロマンを秘めた生涯を表わす彫刻も鑑賞した。貞奴縁起館には往時の資料も展示され、仏道三昧の日々の一面も窺えて当時を偲んだ。現在は、諸芸上達・芸能の寺として、歌舞伎役者や芸能人も多く参詣に訪れると言う。

続いて、その向かいの旧川上家別邸「萬松園」(昭和30年国重要文化財指定)を訪れた。風光明媚な木曽川を一望する場所に建つ別荘は、鉄瓦屋根や明治期の豪奢な趣を遺憾なく味わえるもので、貞奴の人並み外れた感性も各部屋々・各所の内部装飾に見受けられ、案内の具体的でわかりやすい説明もあって、見応えがあった。庭園や茶室も紅葉が始まり一層の趣を感じつつ、坊の塚古墳や山田寺跡を車窓から眺めて充実した研修の帰路についた。