可茂研修会を実施しました
10月4日(火)、前日の台風18号による土砂降りの雨が心配されたが、当日は台風一過の晴天ではなく曇天であり、寒くもなく暑くもないまずまずの研修日和となった。
バスはいつものように名鉄観光バスを使用し、大垣からと山県からの2台で、参加者は74名の多数にのぼった。バスは富加町庁舎の駐車場で集合し、9時30分いよいよ「可茂地区の文化財を訪ねて」の始まりである。
最初の研修地は富加町加治田にある「白華山清水寺」で、この寺は京都の音羽山清水寺とおなじく坂上田村麻呂の開基、円鎮大師の開山と伝えられている。現在は無住の寺で、檀家も無く、地域住民のボランティアによって守られている。本尊は木造十一面観世音菩薩坐像で、国指定文化財となっており、白州正子の『十一面観音巡礼』で紹介された優美な仏像である。最初に案内の方が般若心経を読経され、参拝が始まった。
次に、江戸時代から家族で酒造業を営んでいる松井屋酒造場を見学した。ここは平成7年6月に、酒造用具3443点及び酒造文書459点が岐阜県重要有形文化財に指定された。この酒造場はご主人が杜氏を兼ね、家族全員で酒造りをされているところに感服した。会員の中には松井酒造場が醸造している「加治田城」などをお土産として購入した人もあった。
昼食は美濃加茂市にある「かも川茶寮『うお完』」でランチ会席をいただき、そのデザートの美味しかったことは今でも舌に残っている。
昼食後は、バス毎に2班に分かれて太田宿中山道会館及び旧太田脇本陣林家住宅(国重文)、可児郷土歴史館、願興寺を見学した。
大寺山願興寺は御嵩町にある薬師如来坐像を本尊とする天台宗の寺院で、弘仁6年に天台宗開祖の伝教大師(最澄)が開創したと伝えられている。現在、「蟹薬師」と呼ばれ、住民から親しまれている。しかし、檀家は無く、寺の本堂(国重文)も老朽化しており、文化庁は約13億円をかけて修理しようとしいてる。願興寺の住職は、少しでも自己資金を貯めるために奮闘努力をされている。住職のありがたいお経があげられて心が洗われたあと、霊宝殿にある釈迦如来及脇侍や阿弥陀如来像、四天王像、十二神像(いずれも国重文)などの仏像、仏群の見学となった。また、御嵩町在住の県文化財巡視員である鈴木富雄氏が「濃飛の文化財」に願興寺楼門修理について論文を掲載しているので、一読を勧める。
夕方の4時15分頃、1号車及び2号車のバスはそれぞれ見学場所を離れ、帰途についた。今回の県内文化財研修は盛りだくさんの見学地であり各見学地に与えられた時間は短かったが、内容が豊富で、見学場所の説明もよく、分かりやすく、充実した一日であった。