第七回文化財講演会を開催しました
令和4年11月29日(火)に、グランヴェール岐山にて第七回文化財講演会を開催しました。第一部は講談師の神田京子先生に「明日の講談カタログ」と題してお話しいただきました。第二部では、名古屋工業大学名誉教授の麓和善先生に「岐阜県の近代和風住宅を読み解く」と題して、岐阜県の近代和風建築の魅力について写真を示しながらお話しいただきました。参加者は約90名。
始めに馬渕旻修会長から、これまでに行ってきた六回の文化財講演会の講師とテーマの紹介がありました。そしてこの文化財講演会は、「岐阜県文化財保存活用大綱」にある「文化財を知り、守り、育て、地域の資源として清流の国ぎふづくりに活かす」というスローガンを受けて、協会として取り組むべき重要な事業と位置づけていると述べられました。
公演会(講談)「明日の講談カタログ」 講談師 神田京子先生
美濃市出身の講談師神田京子先生には、「明日の講談カタログ」と題して、講談を語りながら講談の歴史についてもお話しいただきました。古典講談としては「忠臣蔵」や「清水次郎長」について、新作講談としては「金子みすゞ」や「渋沢栄一」について語っていただき、落語・講談・浪曲という寄席の三大話芸の一つである講談の可能性についてお話ししていただきました。
400年以上の歴史を持つ講談。戦国時代末期に誕生し、江戸時代に熟成。幕末・明治・大正・昭和と大衆化して現在にいたっています。現在は「話す文化財」として、講談師の方の中から人間国宝の方が出ておられます。今、「文化財の保存と活用」が叫ばれている中、興隆期・最盛期・衰退期を経て、再び息を吹き返している芸能でもある講談という話芸の中に、古き良きものを継続的に保存、活用していくヒントが隠れているかもしれません。
講演会 「岐阜県の近代和風住宅を読み解く」 名古屋工業大学名誉教授 麓和善先生
麓和善先生は、平成25年から3年間、国の補助金を得て岐阜県の近代和風建築総合調査を実施されました。岐阜県の全市町村に現在ある近代和風住宅の建築年代や史料の有無、建物の特徴等を調査してもらい、約520件の住宅の資料が集約されました。その資料をもとに約520件の住宅から100件を選択し、院生とともに実地調査を実施し報告書をまとめられました。さらにその中から国指定レベルの建造物として10件を選び出したとのことでした。
旧川上家別邸、早川家住宅、料亭洲さき、渡邉酒造、千歳楼、旧北岡田家住宅等、写真でそれぞれの構造上の特徴や、美しいしつらえ、個性など説明されました。
12月に協会が研修する早川家住宅は、明治24年の濃尾地震で甚大な被害を受けたため、当主の早川周造氏が被害の原因を追及し、耐震性を重視した工法で再建を果たしたということで、そのさまざまな工夫を示されました。また、部屋ごとにどのような趣向をこらしたか、具体的に説明され、独創的で洗練された意匠に圧倒されました。
最後に近代和風住宅の特徴をまとめられ、煎茶席の影響が大きいことを示されました。