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平成26年度中津川市研修会報告

平成26年度県内現地研修会報告

中津川市研修  11月6日(木)実施
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本年度の県内現地研修会は、総務委員会で検討し、東濃地方の地歌舞伎舞台関係、中山道関係、遠山氏関係の文化財を研修することになった。中津川地区文化財巡視員の渡邉武様、片田義典様と相談の上、地歌舞伎舞台では「常盤座」、中山道では「中津川宿・中山道歴史資料館」、遠山氏関係では「苗木遠山史料館・苗木城址」などの研修場所を決定した。特に渡邉様には、見学場所との交渉、資料の収集、入場料免除申請などについてお世話になった。

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当日は、バス2台で85名が参加し、天気にも恵まれ、予定通り研修することができた。まず最初に、中津川宿と中山道歴史資料館を見学した。中山道歴史資料館では安藤館長から、和宮降嫁、天狗党、薩長同盟のための密談など、中津川宿の歴史について古文書に基づいた説明を受けた。幕末の激動期に中津川宿でも様々なドラマが展開されたことが印象深かった。

中津川宿では、枡形を中心に卯建の残る古い町並みを、史料館の職員の説明を受けながら歩いて研修した。和菓子屋で栗きんとんを買ったり、造り酒屋で試飲したりして、古い町並みを楽しんだ人もいたようである。

 

nakatugawa3昼食場所は、夜がらす山荘「長多喜」で、「歌舞伎十八番(おはこ)弁当」をいただいた。食材が歌舞伎役者の名前に似せて名付けられているのもおもしろい趣向であった。この場で、子安会長の挨拶や、地元の渡邉・片田巡視員から歓迎の挨拶もいただいき、交流を深めることができた。この山荘は、今上天皇が皇太子時代にお泊まりになったこともある旅館で、東濃地方の古民家を集めた離れ屋五棟で構成されている。昼食後は、山荘内の古民家や庭園、牧水の歌碑、虚子の句碑なども見学させていただいた。

 

 

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午後は、まず苗木遠山史料館と苗木城址を見学した。苗木遠山史料館では、千早資料調査員に苗木城の歴史や現在行われている展示「苗木藩の廃仏毀釈」について説明を受けた。千早先生は、今回の展示のための調査をする中で、本来は無くなっているはずの仏教関係文化財が他地域の寺院できちんと守られて残っていること発見された。その折の感動をこめた千早先生の説明を受けて、大切な文化財をなんとか残そうと努力された人々の思いに触れることができた。

 

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城址は2人のボランティアガイドさんに案内してもらった。
上り下りで1時間の行程があるので、体力を心配された方が数名史料館に残られたが、ほとんどの人が頂上の本丸展望台まで登ることができた。

 

 

 

石垣、門跡、施設跡などの説明を受けると共に、晴天の中で、頂上から恵那山、中津川市内、木曽川の展望を満喫することができた。

 

 

 

 

 

nakatugawa7最後に、福岡地区の高山小学校のそばにある地歌舞伎舞台「常盤座」を訪問した。客席に座って福岡公民館の杉浦館長から説明を受けた。明治24年に開かれ、地区の人々の生活の中に取り込まれて守り続けられてきた常盤座についてのお話を伺った。この舞台で上演された歌舞伎のDVDも見せていただいた後、回り舞台の仕掛けのある奈落、楽屋、客席なども見せていただいた。梁(はり)などに立派な木材が使われ、この地域の人々の舞台に対する思い入れが感ぜられた。
今回は、中津川地区の地元の人による懇切丁寧な説明を受けて、当地域の文化財についてより深く認識することができ、すばらしい研修となった。